冬が好きだ。

真冬の、しかも最も寒い時期に生まれたからかもしれないけれど、冬になると毎年心が躍る。冬という季節は、受験や冬眠のイメージからか一般的にかなり悲観的に見られているけれど、僕は全然そうは思わない。たしかに、夏のはじけるようなイメージや身を焦がす暑さと比べたら、暗く無機質な冬は悲観的に見られてもおかしくはないけれど、僕は冬にこそあたたかさがあると思う。

冬にあたたかさを感じる瞬間はたくさんある。人間は慣れる生き物だから、「寒い」ことが普通になるとそれだけ暖かい場所に行った時の有り難みを強く実感する。それはきっと気温だけではなくて、その他の色んなあたたかさもあると思う。自分が幸せじゃないと思えば思うほど些細なことでも幸せな気持ちになれるのと同じで、冬は無情なようでその中にある小さなあたたかさに気付かせてくれる。気がする。

冬にこそあるあたたかさを曲にしよう、とギターを手に取ってみたけれど、思うように進まない。優しい気持ちは曲になりづらい。何か共感したり、胸に響くような曲はいつもどこかにトゲがある。誰かから突き刺すように言われた言葉がいつまでも忘れられないように、人の心に残る曲というのはどこか痛みを与える強さを持っているのかもしれない。もしくは自分の中に、辛いことや悲しいことを消化するために曲を作っているという潜在意識があるのかもしれない。弱いなぁと思う。Actlessというバンド名をつけてしまったけれど、いつかは自分の感情や苦しみと折り合いをつけて、それを上から見下ろすように曲を書けるようになりたい。どれくらい大人になったらそれができるようになるだろう。そこまで大人になったら曲なんて書いてないのかな。