20230326-20230401

2023年3月26日(日)

 車で買い物に出かけた。色々買おう、と意気込んでいても、結局あんまり買えないものだよな、と思っていたのに、結局たくさん買ってしまって、両手いっぱいの荷物を携えて家に帰った。

 好きな服を着ることができるのはどうせ週に2日しかないのに、どうしても新しい服を買ってしまう。服を買うことは楽しい。それが楽しいのは、新しい自分に出会えるような気がするからだ。

 僕は新しい自分に出会い続けたい。それだけが、生きる希望になるような気がする。誰かと出会ったり、本を読んだり、いつもと違う服を着てみたり、新しい音楽を聴いてみたりする。あるいは文章を書いてみたり、曲を作ってみたり、何かを創作してみたりする。生きる意味などない、と悲観してしまうこともあるけれど、そうして出会う新しい自分を実感することには、少なからず生きている意味があるような気がする。

 そんなことをぼんやりと考えながら、本屋で買ってきた又吉直樹の新作エッセイ集を読んでいたら、「生まれ方も死に方も選べないけれど、生き方だけは選べる」というようなことが書いてあった。僕はそれを読んで、救われる思いがした。

 生き方だけは選ぶことができるのならば、僕はこれからもずっと、新しい自分に出会う生き方を選択していたい。仕事に追われる日々は、いつも自分を見失いがちだけど、そんな中でも新しい自分を見出すヒントはどこかに隠されているはずだ。そしてそれを実感するために、明日も日記を書かなければ、と思う。

 

2023年3月27日(月)

 せっかく何かを書いていたのにそのまま寝てしまって、次の日に起きたら書いた日記を誤って全部消してしまった。あーあ、と思ったけれど、世界から見れば僕があの時に書いた日記のことなど、本当にちっぽけなことなのかもしれなかった。それでも、それが僕の世界にとってもちっぽけなことだ、とは絶対に思ってはいけない、と思ったりした。

 

2023年3月28日(火)

 仕事に行った。仕事に勤しむふりをしながら、書き上げた小説のタイトルをずっと考えていた。

 

2023年3月29日(水)

 家で仕事をした。夜は早めに上がって、書き上げた小説をポストに投函した。夜はバンドのラジオを収録した。

 僕は別に何かを果たしたいわけでもなく、何者かになりたいわけでもなく、ただ幸せになりたいだけだ。そう信じて生きているはずだった。けれど、小説の完成の祝杯に、と買ってきたコーラを飲みながら、メンバーとZOOM越しに笑い合う自分の姿を、一歩離れた所から見ている自分が確かにいた。

 

2023年3月30日(木)

 仕事に行った。どうしてこんなに忙しいんだろう、とぼんやりと考えていたらどんどん時間が過ぎていて、こうしているからこんなに忙しいのかもしれないな、と思ったけれど、それを誰かのせいにしなければ自分を保っていられる気がしなかった。こうやって人は、過ちを犯すのかもしれない、と思ったりした。

 

2023年3月31日(金)

 仕事に行った。これ以上パソコンを睨み続けていたら何かを失ってしまうような気がして、モニターから不意に目を逸らすと、小さい蝿が職場の蛍光灯の周囲を飛び回っていた。僕はそれを見て、春の訪れを感じた。

 

2023年4月1日(土)

 仕事に行った。土曜日なのに仕事か、と思っていたはずなのに、職場に行ったら色んな人たちがいて、土曜日だということを忘れてしまっていた、ということを帰ってから思い出した。忘れたままでいた方が幸せだったのかもしれない。そういうことが、世界にはたくさんあるらしい。