2024-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「現実を超えた現実」と出会い続けるために

現実以上の手触りを持った現実がここにある。 濱口竜介の『ハッピーアワー』『親密さ』といった初期の作品群を観た時に抱いたのは、無理に言葉にしようとすればそんな感慨だった。無駄な説明は排され、登場人物たちが「ただそこに存在している」ことが、スク…

月が近づけば少しはましだろう

何をしていても、無意味に思えてしまうことがある。「結局のところ人生に意味なんてないのだ」という諦念を腹の底に抱えながらも、それでも生きているのだから、大小問わず自分なりの生き甲斐のようなものを見つけ、あるいはそうした生き甲斐を「探す」とい…

作曲に関するあれこれ

今年に入り、久々に作曲をしよう、と不意に思い立って、幾つか断片的で形にならないものを作り続けている。昨年の7月ぐらいから作曲にはほとんど手をつけておらず、それよりも文章を書きたい、という欲求に対して素直に、毎日日記を書き続けてきた。そうし…

パーフェクト・デイズ

年始一本目に観た映画は、ドイツの映画監督・ヴィム・ヴェンダースが日本で撮った、『PERFECT DAYS』という映画だった。俳優・役所広司がカンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞した話題作で、「THE TOKYO TOILET」という、渋谷区の公共トイレを快適なものに…

「僕」と「世界」の間に

正月から不穏なニュースが続いている。能登半島を震源とした大きな地震が起き、津波があった。羽田空港では着陸した航空機と別の航空機が接触し、炎が上がり、死者が出た。僕はそうした痛ましい報道をテレビ越しに見つめながら、空腹を満たすため一人、コン…