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何でもないことが頭から離れず、何でもないにも関わらず何らかの意味を持った悪い出来事の兆候のように頭のどこかに居座っていることがある。どんな出来事も自分が非難されているように映る時は、大概自分が自分の生活に後ろめたさを感じていることが多い。どこか頑張れていないとか、どこか心の余裕を感じてしまっているとか。

そういう時は、何かしていないと不安になるのでとりあえず本を読む。映画を観る。ラジオを聴く。そうして何かしら、考える。活字を追いながら、画面を見ながら、物語を追いながら、人の話を聞きながら、頭の隅で別の何かを常に考え続けている。芸術鑑賞とはもしかしたらこの「頭の隅」にある何かに思いを馳せること、つまり、自分の思考を活性化させ、普段の生活では行き届かない無意識の深い深い部分へと自分を誘う役割があるのではないか。

そしてそれが、もしかしたらいちばん大事なことなんじゃないか。