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ムンク展に朝からいった。とんでもなく良かった。個人的には「病める子」が一番好きで、これは病床にあった彼の姉をモデルとして描かれた作品なのだが、こういう作品を、誰かに「好き」と言うのは難しい。というか、なんだか少し不謹慎な気がして後ろめたい気持ちになる。しかしどう考えても僕はその作品が「好き」だった。それを見て暗い気持ちになることも、自分の中にあった脆い部分が抉られていくような感覚も、その気持ちになれて本当に良かったと思えるものでしかない。

ムンクは、自然に対して自分の感情を通して見える景色は、気分の高低によって全く異なるものになるという旨を、書き溜めた文章の中で語っている。そんなことを、僕は頭のどこかで考えていたようで全く考えていなかった、ようでそれは妙に納得のいく言葉だった。いい芸術体験とは、こんな感じかな、と思えたのでよかった。