夏蝉

時間を咀嚼するように窓の外を眺めていた。取り残されるのはいつだって自分のせいだ。蝉は数日で死んでしまうのに、ほとんど鳴いている姿しか見ない。精一杯鳴いているのを見て僕らは何を思えばいいんだろうと考えてみたけれど答えは出ない。数日間の儚さを訴えかけてるんだ、みたいな戯言が浮かんだものの煩わしくて耳を塞いだ。無理して何かを感受するのは心にも体にも良くない。うるさい黙れと言いながら窓を閉じた。外に向かって呟いたのに、自分が言われているような気がした。どんどん自信がなくなっていくのに、どんどん発信したいことが増える。排泄するみたいに感情が出てくる。ただ鳴いている蝉よりも、僕の中の僕がうるさい。そろそろ黙れ。いつの間にか7月が終わる。